物理フォーマット(ローレベルフォーマット) とは?
ローレベルフォーマット(Low Level Format)や低レベルフォーマットとも呼ばれ、本来の意味はハードディスクやフラッシュメモリーなどの記憶媒体を、記憶媒体としてきちんと使える(読み書き可能な)状態にするための初期化作業のこと。通常は記録媒体の出荷時にメーカーが行う。
何の秩序もない単なる物質としての記録媒体に対してデータを書き込むための土台を作る作業で、具体的には記憶領域の最小単位であるセクターを定義する。以後はこの物理フォーマットで定められたセクターに従って、記憶媒体内でデータの管理が行われる。
物理フォーマットされた記憶媒体上にパーティションやファイルシステムのための必要な情報を書き込み、実際にファイルの保存や読み出しを行えるようにすることを論理フォーマットと呼ぶ。物理フォーマット後の論理フォーマットを経て、はじめて記録メディアを利用できるようになる。
ただし、一般にWindowsなどのOS上で行われる物理フォーマットとは、上記のような本来の意味であるセクターの切り直し作業ではなく、多くの場合は、ゼロフィルと言ってハードディスクやフラッシュメモリーの記録領域であるセクター全体にゼロ(00)の文字列を書き込む作業のことを指す。
この作業によって記録媒体における全てのデータが完全に消去され、通常はOSが管理していてユーザーがアクセスできない部分や、MBRやGPTといったブートセクタまでも初期化することができるので、この部分が壊れてしまった場合には物理フォーマットを行うのが有効である。
記録媒体が物理的には故障していないにも関わらず、ウイルス感染など何らかの理由でブートセクターが壊れてしまうと正常に読み書きできなくなる場合があるので、ハードディスクやUSBメモリーに突然アクセスできなくなった時には、物理フォーマットを試してみるのが良い。
また、セクターへのゼロ(00)書き込み時に不良セクターが検出された場合は、正常な代替セクターと交換されるので、故障のような症状のあるハードディスクでも、物理フォーマットを行うことで不安定だったセクタが安定し元通り使える状態に復旧できることもある。