一時ファイル(テンポラリファイル) とは?
アプリケーションやソフトウェアが、作業中のデータを一時的に保管するためのファイルのこと。拡張子は「.TMP」など。「一時的な、一時の、臨時の」という意味の英語「temporary」に由来する。作業中のデータを便宜的に一時記録しておくだけの仮のファイルなので、永続的な保管が必要なデータを記録する通常のファイルとは異なり、アプリケーション・ソフトウェアを終了すると同時に不要になり自動的に削除されることが多い。
一般にコンピュータ上で一時的なファイルやフォルダを扱う場合には、「tmp」や「temp」といった名前にすることが習慣になっており、Windowsでも一時ファイルの置き場としてシステムドライブ(通常はCドライブ)上に「Temp」という名前の一時フォルダ(テンポラリフォルダ)が用意されており、Windows上でソフトウェアを使用する際にアプリケーションが一時的に使うファイル(一時ファイル)を置く場所として使われている。
一時ファイルが作成される目的はソフトウェアによって様々あり、例えばシステムのメモリ(RAM)上に保管しきれない膨大な量のデータを扱う際に、HDD・SSD上に非アクティブなデータのみを退避しておいて必要に応じて取り出して使ったり、急な電源遮断やソフトウェアのエラーによる強制終了に備えて、作業中のデータを一定時間毎にバックアップ用途として複製する場合などがある。
一時ファイルの作成やそれに対するデータの書き込み、削除などは、通常はソフトウェアがバックグラウンドで自動的に行うため、利用者が一時ファイルの存在を意識する必要はない。ただし何らかの理由でアプリケーション・ソフトウェアが異常終了や強制終了された場合には、一時ファイルが正しく削除されずにディスク上にゴミとして残ってしまうため、ストレージ容量を圧迫しシステムの性能や動作の安定性などパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがある。
これらの不要になった一時ファイルをそのまま保管しておいても何らメリットはないので、システムクリーナー等を用いて定期的に一括削除してやると良いだろう。なお、アプリケーション・ソフトウェアによっては、こういったシステムクリーナーを使用しなくとも作成する一時ファイルの上限容量を設定したり、作成済みの一時ファイルをまとめて消去する機能を備えているものもある。
<一時ファイル(テンポラリファイル)とキャッシュファイルの違い>
ソフトウェアが作業中のデータを便宜的に一時保管しておくために作成するファイルのうち、インターネット上から取得したデータや使用頻度の高いデータを必要になったときにすぐにアクセスできるようディスクに保管しておく用途のファイルを一般に「キャッシュファイル」(cache file)と呼びウェブブラウザなどで用いられているが、日本語訳では用途に関係なく一時ファイルとなっている場合が多く、一時ファイルとキャッシュファイルはあまり明確に区別されていない※。
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