CPUは壊れにくいPCパーツ?壊れるれるときは普通に壊れます…

自作PC 約5分で読めます 投稿 2023/09/27 更新 2023/09/30

CPUは壊れにくいPCパーツ?壊れるれるときは普通に壊れます…

このページを開いたということは、あなたはきっと自作PCユーザーだったりパソコンのパーツ交換に興味がある方だと思いますが、今回はPCパーツの中でも特にCPUについての話です。

筆者は自作PC歴が長く、今まで色々なPCパーツを壊したり買い直したりしてきた経験があるのですが、自作PCユーザーの界隈ではよく「CPUは滅多に壊れることのないパーツ」なんて言われたりします。

まだ自作歴の浅い人の中には、CPUは普通に使っている限りではまず壊れないパーツだから、パソコンに不具合が出た時でもよほどのことがない限り原因にCPUを疑うべきではないと考えている人も多いようです。

ですが今まで何十台ものPCを扱ってきた筆者の経験から言うと、CPUは確かに壊れにくいパーツではあるものの壊れることは決して珍しくないものなので、今回はちょっとした注意喚起の意味もあって記事を書こうと思います。

ジャンク品のCPUを買うのをおすすめしない

さて、始めに今回なぜこのようなテーマの記事を書こうかと思ったかと言うと、最近ヤフオクだったりメルカリなどのフリマアプリで、ジャンク品(壊れている可能性があると明記されている)のCPUが決して安くはない価格で売買されているのをよく見かけるからです。

CPUはパソコンの構成を考える上で中心になるパーツであるとともに、PCパーツの中でも特に高価な部品でもあるので、少しでも購入費用を抑えたいと考える自作PCユーザーがジャンク品に手を出したくなる気持ちはよくわかります。

一般に壊れにくいとされているパーツでもあるので、たとえジャンク品として販売されているものでも「出品者が壊れていると思い込んでいるだけで、実際にはパーツ相性などが原因で不具合のような症状がでているに過ぎない可能性が高い」という購入者の判断があるから売れるのでしょう。

新品価格16500円のジャンク品CPUが1万円以上で売買されたメルカリの例

故障の可能性がある旨が明記されている場合でも、IntelやRyzenの現行の人気モデルがだいたい新品価格の6割程度で出品されるとすぐに売れてしまう光景を本当によくに見かけます。

もとが高価な商品なので、仮に新品価格が2万円とするとジャンク品をだいたい1万2千円くらいで購入できたとすれば、もし壊れていなければかなり大きい旨味があります。予算に限りがある場合は、そこに賭けてみるのも選択肢として魅力的に見えるのかもしれません。

ですが、自作PC歴が長くCPUを壊した経験が何度もある筆者のような人間にとっては、これは外れる可能性の方が高い博打をやっているのと同じに見えてしまいます。

いくら割安とは言え、人気モデルの場合はジャンク品でも1万円を超える出費になることが多く、読みが外れて普通に壊れていた場合には大損です。予算がないから節約のために博打をやって外して大損するという、そこには本末転倒の極めつけのような結果が待っているわけです。

CPUは消耗品!壊れるのは珍しくない

CPUの故障についての十分な知識がないためにジャンク品を買ってしまう人がいるのだと思いますが、PCパーツの中では比較的耐久性が高いというだけの話で、決して滅多に壊れないようなものではありません。まずは、所詮は消耗品に過ぎないという認識を持っておきましょう。

マザーボードや電源ユニットはコンデンサーの劣化などで経年により壊れることが多く、HDDやSSDは周知の通り消耗品なので当然のごとく頻繁に壊れるパーツでもあり、それと比べるとPCパーツの中ではCPUは壊れにくいという考え方は確かに間違っていないと思います。

ところが「CPUは壊れにくい」という話が拡大解釈されて、自作PC歴が浅かったり経験の乏しい人の中には「過電流を流すような変な使い方をしない限りCPUが壊れることなどまずない」という、あたかも半永久的に使えるかのような誤った認識を持っている方も少なくないようです。

ですが筆者の経験からすると、この考えは明確に間違っていると感じます。オーバークロックのような通常の使用方法を逸脱するような使い方をせずに、定格で普通に使っていて冷却不足など運用方法に問題がなくても、早ければ2~3年程度で壊れることは往々にしてあります。今まで何度かそういう経験をしてきました。

CPUだけでなく精密機器全般に言えることですが、機械モノはとにかく品質に当たり外れがあるので、CPUが比較的頑丈とは言え当たりが悪いと早々に壊れる。所詮そういうものなのです。

というわけで、「CPUはまず壊れない」という誤った認識を持っていると、フリマアプリなどでジャンク品のCPUに手を出してしまいがちになりますが、発売から数年以内の比較的新しいモデルでピン折れなど見た目に問題がなくても、ジャンク品は所詮はジャンク(ゴミ)。普通に壊れている可能性の方が高いと考えるべきです。

筆者自身もメモリーなど安価な部品はヤフオクやメルカリで動作確認済みの中古品を買うことはあるのですが、ジャンク品のCPUは絶対に買わないようにしています。安さに釣られて手を出すと、高い確率で大損することを知っているからです。

CPUは具体的にどんな壊れ方をするのか

さて、CPUを実際に壊した経験がない人にとって、「CPUに不具合がでるとPCが一切起動しなくなるはずだ」と思い込んでいる人は少なくないはずです。実際、ヤフー知恵袋などでパソコンの不調の原因にCPUの不具合を疑っている質問者に対して、そのような浅はかな回答をする回答者をしばしば見かけます。

これについても、筆者の経験から言わせてもらうと、CPUにどこか不具合が起きてもPCが起動することは普通にありますし、BIOS画面からCPUを確認しても正常にCPUが認識されたりします。にも関わらずフリーズなどが頻繁に発生してパソコンが使えない…そういうケースはよくあります。

このような場合に、CPUを同じ型番の正常なものに交換すればフリーズは一切なくなって問題なくパソコンを使用できるならば、当然ながらCPUの故障が原因となります。これは本当によくあることなので、「CPUが壊れるとPCが一切起動しなくなる」という認識も明確に間違っていると断言できます。

ほかにも、よくあるのは「Windowsを再インストールしようとすると、何度試しても途中でフリーズしてインストールを完了できない…CPUを交換したら普通にインストールできた」なんていう症状です。

そう、BIOS画面上ではCPUの情報は問題なく確認できるのに、実際にWindowsを動かしてみるとフリーズが多発して使いものにならない…!そういう不具合の出方をするCPUは確実に存在するのです。

また、筆者が実際に経験した珍しいケースでは、「CPUの内蔵グラフィック機能だけが壊れた」というものがあります。それまで普通に使えていたCPUが、ある日を境に画面にノイズが発生するようになって、日に日にノイズが酷くなっていき、最終的には画面が映らなくなりました。

そこで試しに、そのPCにグラフィックボード(PCIEスロットに挿すタイプのもの)を載せてみて、グラフィックボードから映像出力すると画面が正常に映り、何の問題もなくパソコンとして使用できたということがありました。グラフィックボードを取り外すとやはりダメだったので、CPUを交換してみると正常に映りました。

そんなことも含め、私自身はそれなりに長いPC歴の中で、CPUの故障というのは様々な症状を経験してきたので、自作PCユーザーの間でよく言われている「CPUはとても頑丈で滅多に壊れないパーツだ」という考え自体にやや疑問を持っていますし、実際に故障に遭遇したときも「あー、またか…」と思う程度には慣れてしまっているのです。

繰り返しになりますが、マザーボードや電源ユニットなど他のPCパーツに比べると耐久性が高いということは出来ると思いますが、少なくとも「CPUは普通に使っている限りまず壊れない」なんて言う極端な意見は明確に間違っていると筆者は考えています。

というわけで、結局のところ何を伝えたいかと言うと、「ヤフオクやメルカリでジャンク品のCPUを買うのは極力避けましょう」「それ、あなたは壊れていない可能性があると思うかもしれませんが、ほとんどの場合本当に壊れている可能性の方が高いですよ」ということです。

ピン折れだけならばまだリカバリーできる可能性があるのでマシですが、CPUは基本的にどこか不具合が出ると修理のしようがないので、一旦壊れたら本当に文字通りのジャンク = junk(ゴミ)でしかありません。いくら割安で販売されているとしても、数千円~数万円を出費して壊れていない可能性に賭けてみる価値はありません。

ひょっとすると「ダメ元で買ってみて、もし本当に壊れていたら動作未確認品として再出品すればいいや…」という考えを持ってあえて購入する人もいるのかもしれませんが、弁護士の方に聞いた話では「動作確認済みだろうが動作未確認だろうが、壊れていることを知っていながらその旨を知らせずに販売したら刑法の詐欺罪にあたる」ということです。

というわけで、節約のためにジャンク品のCPUを買って本当に壊れていたら自分が大損する以外の結末はあり得ないので、安さという誘惑に釣られてゴミを掴まされることのないよう、自作PCユーザーの方は自衛のために日々きちんとPCパーツに対する正しい知識を増やしていきましょう。

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