Windowsのリテール版とDSP版の価格以外の違いは?コストパフォーマンスはどっちが良い?

自作PC 約4分で読めます 投稿 2019/12/13 更新 2019/12/13

Windowsのリテール版とDSP版の価格以外の違いは?コストパフォーマンスはどっちが良い?

自作PCなどにWindowsをインストールしたいとき、通常はマイクロソフト社から販売されているWindowsのライセンスを購入することになるわけですが、選択肢としては大きく分けてリテール版とDSP版があります。基本的には、このどちらかを購入することになります。

リテール版は家電量販店などでも箱入りパッケージで売っているので購入しやすい一方、DSP版はパソコン専門ショップかネット通販くらいでしか取り扱いがないので入手性が少しだけ悪いのが難ですが、リテール版より安価に購入できるというメリットがあります。

リテール版とDSP版のライセンスの違い

リテール版とDSP(Delivery Service Partner)版の最も大きな違いが、ライセンスにおける考え方にあります。家電量販店で箱入りパッケージで売っているリテール版では、ライセンスは購入者に与えられます。それに対しDSP版は、パソコン本体ないし同時購入したハードウェアに対して与えられます。

つまりどういうことかと言うと、リテール版では購入者にWindowsを使用するライセンスが与えられるので、一度インストールしたパソコンからWindowsを削除して、別のパソコンに改めてインストールするといった乗せ換えが、ユーザーの権利として可能になります。

一方のDSP版は、パソコン本体もしくは同時購入したハードウェア(パソコンの部品)にWindowsのライセンスが紐づけられるものなので、一度インストールしたパソコンからWindowsをアンインストールして別のパソコンに乗せ換えることはライセンス上できません。

DSP版は原則的に単体購入は不可で、パソコンのパーツと同時販売されます。この場合セット購入したパーツに対してWindowsのライセンスが与えられる仕組みになっているので、Windowsをインストールしたい場合は購入したパーツも必ず同じパソコンに組み込んで使用する必要があります。

ちなみにWindows 8/8.1におけるDSP版のライセンスポリシーはやや特殊で、パーツとのバンドル無しでOSだけを単体購入が可能でしたが、Windows 7以前とWindows 10では上記の通り、パーツとのセット購入および同時使用が必須となっています。

アップグレード版の有無と32bit/64bitの両方が同梱されているかどうか

その他の違いとしては、インストール方法において、リテール版は古いOSからのアップグレード版という選択肢がありますが、DSP版にはアップグレード版というのが存在しないので、新規のクリーンインストール版しか選択肢がありません。

なので、以前のOSにおける設定やインストール済みアプリケーションをそのまま引き継ぎたいと考える場合は、アップグレード版の購入が必要になるのでリテール版を買うことになります。最初から設定し直すのがそれほど面倒でない場合はDSP版をクリーンインストールするのも良いでしょう。

ただし注意点として、Windows 8/8.1においてはリテール版はアップグレード版のみで、ライセンス上クリーンインストール(新規インストール)は不可能となっています。Windows 7およびWindows 10のリテール版はアップグレード・クリーンインストールどちらも可能です。

次に、32bit版/64bit版の両方のインストールメディアが同梱されているか否かという違いがあります。リテール版においてはWindows 7以降、32bit版と64bit版の2つのディスクが同梱されていますが、DSP版ではこれが別売りになっています。

なので、たとえば「32bitのDSP版を買ったけれども64bit版をインストールしたくなった」という場合、再度64bitのDSP版を購入し直す必要があるわけです。リテール版では32bit/64bitいつでも好きな方をインストールできるので、買い直しの必要はありません。

互換性などを重視して当面は32bit版を使いたいけれど、将来的には64bit版に移行したい…などと考えている場合は、リテール版を購入した方が結果的に安くなる可能性が高いので、DSP版はおすすめではありません。

ついでにもう一つ言うと、リテール版ではマイクロソフト社のサポートが受けられます。一方、DSP版ではサポートは受けられません。ただし、DSP版の購入を検討しているような層の人は基本的に初心者ではなくサポートは必要ないと思うので、ここではさらっと流すことにします。

結局、どちらがコストパフォーマンスが良いのか?

購入時点での価格面だけ見ればDSP版の方が安価に購入できるので、自作PCユーザーの間ではリテール版よりもDSP版の人気が高いようです。DSP版ならリテール版のアップグレード版を選ぶよりもさらに安く買うことができるので、単純に購入しやすいのが支持される理由でしょう。

また、言うまでもないことですが、リテール版のアップグレード版をインストールしたい場合は、古いWindowsのOSが既に入っている必要があるので、再インストールしたい場合なども以前のOSのインストールからやり直ししなければいけないので、なかなか面倒だったりします。

そういう手間を考えると、リテール版のアップグレード版を買うくらいならDSP版を買った方がコストパフォーマンス的に考えても良いかもしれませんが、DSP版には上に述べたようなデメリットもあるので、一概に必ずしもどちらが良いとは言えません。

ライセンス的にはリテール版の方が制限がなく自由が利くので、面倒なことを考えずに使いたい人はリテール版を購入しておけば間違いはないですが、やはりDSP版に比べて高価なところがネックです。お財布と相談しながら、自分の利用形態にあわせて最適なライセンスを選ぶようにしたいですね。

最近はリテール版とDSP版の価格差がほとんどない

ただし、この記事を書いている2019年の年末頃の傾向として、最近ではリテール版とDSP版の価格差がかなり小さくなってきていて、ショップによってはWindows 10でエディションがHomeなら1000円も違いがないほどです。

なので今のところは、新規のクリーンインストール/アップグレードインストールの両方が可能で、32bit/64bitどちらでも利用でき、且つ複数のPC間で自由に乗せ換えができてマイクロソフト社のサポートまで受けられるリテール版の購入が断然おすすめです。

DSP版のインストールメディアはDVDドライブなので外付け光学ドライブが別途必要になる場合がありますが、リテール版はUSBメモリなので、その購入費用を考えるとリテール版の方が安くなる場合さえあります。

また、Windows 10 HomeとProのエディションの違いについては、近年は自作PCユーザーの間でも安価なHomeを選択するのが圧倒的に主流です。Proは企業の業務で必要な場合など、特別な理由がない限り選ぶ必要はありません。

というのも、Windows 7の時代は搭載可能なメモリー上限が64bit版Home Premiumで16GBだったのが、64bit版Professionalなら192GBと大きな開きがあったのに対して、Windows 10ではHomeでも最大128GBまで利用可能でそれで十分なので、もはやあえてProを選ぶメリットがないからです(ちなみにProは最大2TBまで)。

というわけで、この記事を書いている時点ではWindows 10 Homeのリテール版を選ぶのが最もコストパフォーマンスが優れていると言えるので、当サイトでは今から購入を検討している人にはそちらをおすすめします。

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