Kindle Unlimitedでスクショを撮るのは違法?いいえ合法です!

ウェブサービス 約8分で読めます 投稿 2021/12/09 更新 2021/12/12

Kindle Unlimitedでスクショを撮るのは違法?いいえ合法です!

最初に結論から言ってしまうと、「Kindle Unlimited」のようなユーザーが正規の料金を支払って利用するサービスにおいて、スクリーンショットを撮って画像データとして電子書籍を永久保存し個人の範囲内で利用する行為には、違法性はありません。つまり適法(合法)です。著作権法的には何も問題ないという意味では、どんどんやってOKです!

Kindle Unlimitedの読み放題の対象となるタイトルの中には頻繁に入れ替わるものもあり、「前はタダで読めたのに、今回ダウンロードしようとしたら読み放題対象外になっていた…残念!」ということも”あるある”です。対象になっているうちにダウンロードしてスクショを撮っておけば、今は読む時間がなくても後でいつでも読めるようになって便利ですよね。

また、読み放題とは言っても個人の時間は有限なので、普通は毎月何十冊も読めるわけではありません。月間の利用料は1000円くらいでも、読みたい本がいくつもあれば、結局は何ヶ月間も契約することになるので、実はめちゃくちゃ割安とも言えないKindle Unlimitedですが、一ヶ月間だけ契約して合法的にスクショを保存しておけばあとでいつでも読むことができ、コスパ最強になります。

電子書籍のスクショが合法である理由の法的解説

電子書籍のスクショは著作権上の私的複製にあたり合法

いきなりKindle Unlimitedのスクショは合法ですと言われても「じゃあ合法なんだ!やったー!」とすぐに納得はできないと思うので、ちょっと詳しく解説すると、まず原則的には、著作物を著作権者の許諾なく複製すると、複製権(著作権法21条)の侵害となります。Kindle上の電子書籍も著作物ですので、これを勝手にスクショを撮るなどして複製すると、原則的に言えば複製権の侵害となります。

ただし、ここが重要なのですが、著作権法には著作権を制限する例外規定があり、一定の要件を充たしている場合には、原則から外れて著作権者の許諾を得ることなく著作物を利用することができます。その例外の一つに「私的複製」があります。つまり、著作物を個人的な範囲内において使用することを目的とする場合には、著作権者の許諾がなくとも複製可能なのです。

たとえば雑誌に載っているドラえもんの絵をスマホで撮影して写真に保存したら、ドラえもんという著作物を著作権者の許諾なく複製していることになります。ただ、それを撮影した本人がスマホの待ち受けに設定して楽しんでいる限りにおいて、著作権侵害になるかと言えば、なるわけがない。当たり前ですが許諾をとる必要などありません。ここではそれと同じことが言えるわけです。

しかし、どんな場合でも「個人的に使用することを目的としての複製」ならば合法的に複製できるかと言えば、そういうわけでもありません。すなわち、私的複製にはいくつかの例外があります。例えば、YouTubeに無断転載されているテレビ番組など、違法アップロードされた著作物をダウンロードする行為や、Blu-ray Discのコピープロテクトなど技術的保護手段を故意に回避して動画を複製する行為がその例外に当たり、私的複製の範囲には含まれません。

今回の「Kindle Unlimited」のように、ユーザーが正規の手続きをとって利用していて、なおかつコピープロテクトのような技術的な保護もかけられていない場合は、「私的複製」の範囲に含まれるので、スクリーンショットを撮って画像データとして保存しても、個人で利用している限りでは著作権の侵害とはなりません。理屈上は、上述のドラえもんの写真を撮る行為と同じです。もちろん「Kindle Unlimited」解約後も永久に利用してOKです。

レンタルCDのコピーが合法なのも同じ理由

レンタルCDのコピーと電子書籍のスクショは同じ理由でOK

これと同じことが言えるのが、TSUTAYAなどのレンタルCDのコピーです。「買ったわけではなくレンタルしたCDをただ聴くだけじゃなく、勝手にパソコンに取り込んでコピーしたりウォークマンに入れてていいの?」という不安を抱えている人もいるかもしれませんが、これも同じ理由で「私的複製」にあたるので、法律的には何も問題ありません。

加えて、通常レンタルCDには既にレンタル料金の中に「著作権利用料金」が上乗せされた料金になっています。つまりレンタルした時点で、私的複製により著作権者が金銭的な損害を受けないよう補償料を支払っていることになるので、道義的な問題もクリアしています。そういうわけで、CDをパソコンにコピーすることに後ろめたさを感じる必要はないので、どんどんスマホやウォークマンに取り込んで楽しみましょう!

レンタル音楽CDのリッピングやCD-Rへのコピーは合法!違法ではありません!

ただし、電子書籍のスクショがレンタルCDと違って注意が必要なのは、Amazonの「Kindle Unlimited」の利用規約の違反にはなるかもしれないという点です。この場合、ユーザーの法的な権利、つまり電子書籍を画像データとして保存して私的に利用する正当な権利を、規約を盾として企業が奪い取ることができるのか?というと、そこはユーザー側 VS 企業側の利益のぶつかり合いになりますが、どちらの言い分が正義であるかは微妙なところです。

ただし、少なくともユーザー側としては「Kindle Unlimited」のサービスに加入する際、利用規約に同意した上で契約していることになるので、万が一違反が発覚した場合にはアカウント停止されたとしても甘んじて受け入れるしかないでしょう。もしこういった措置を不服とする場合は、法的措置(つまり民事裁判での争い)をとるしかないわけですが、そんなことをして割に合うはずもないので、基本的にはユーザー側の泣き寝入りになる可能性が高いです。

また、言うまでもないことかもしれませんが、画像データとして保存した電子書籍を他人に閲覧させたり譲渡するようなことは、「私的複製」ではないので完全な違法となります。適法なのは、あくまで正規の手続きでサービスを利用するユーザーが個人としてスクショを保存しておいて、私的な範囲内でそれらを使用することに限られます。この点を忘れてうっかりしていると違法になってしまうので、画像データの管理には注意しましょう。

Kindleのスクショを1ページ毎に手作業で撮る作業は割に合うか?

撮影はタブレットの見開きで効率よくやろう

電子書籍のスクショを撮って保存することに法的な問題はないことが分かったとは言え、そもそも1ページ1ページスマホやタブレットでスクリーンショットを撮影して、撮り終えたら画像データをPCに転送して、画質をトリミングして名前を付けてフォルダにまとめてPDFに変換して…こんな面倒な作業する労力が果たして本当に割に合うのか?という別の問題がありますよね。

結論から言ってしまうと、これもやり方によっては、全然割に合わないことはない。むしろ大いに割に合うだろうと、筆者は考えています。というのも、Kindleの電子書籍を1ページ1ページ手でめくって、ひたすらすスクリーンショットを撮っていく…こんな面倒そうに思えることでも、考え方次第でかなり効率よく作業を進めることができるからです。

理想を言えば、13インチのiPad Proで見開き表示をして、一度に2ページずつホームボタンと電源ボタンの同時押しでひたすら撮影していくのが最も効率が良いと思います。13インチのiPadなら解像度が高いので、見開きでも十分に高画質のスクリーンショットの保存が可能です。また、Kindleアプリの設定で文字を小さくすれば、1ページに収まる文書の量が多くなり、その分だけ撮影するページ数も少なくて済みます。

iPadの場合、ボタン同時押しでスクリーンショットを撮影して、ページをめくって…という単純作業に慣れれば、見開きで2ページずつの撮影ならば、最大1ページあたり1秒くらいの早さでサクサクと保存していくことができます。これなら300ページある本でもだいたい5分もあれば撮影できるので、一冊の本の値段が1000円として時給12,000円と考えれば、十分に時間と労力の割に合うと言えるのではないでしょうか。

またホームボタンのない新型のiPadの場合、音量ボタンと電源ボタンの同時押しになりますが、これでは少しやりにくいので、「設定→アクセシビリティ→タッチ→AssistiveTouch」と開いて、「AssistiveTouch」機能をオンにし、ワンタップでスクリーンショットを撮影できるボタンを作ることで最も効率よく撮影ができるようになります。

と言っても、13インチのiPad Proなんて持っている人は少数派だと思いますので、画質にこだわらなければ普通の10インチのiPadでも見開き撮影で十分に読めます。通常は見開きで2ページずつ効率よく撮影、どうしても高画質で保存しておきたいものだけ縦表示で1ページずつ撮影していくのが良いでしょう。

スマホでの撮影は、どうしても縦表示で1ページずつの撮影になってしまうし、タブレットに比べて解像度が低く表示できる情報量が少なくなりがちなので効率が悪くおすすめではありませんが、そもそもKindle Unlimitedに加入するくらいの読書好きならば、電子書籍を読むためにタブレットの一台くらいは持っているという人が多数派だと思いますので、そのタブレットを有効活用しましょう!

スクショを保存するときの体裁にこだわるな!

ここで大事なのが、とにかくスクショを保存するときの形式にこだわらないこと!電子書籍は紙の本とは違うので、とにかく、読めれば何でもいい。そういう心構えで、良い具合に適当にやるのがコツです。これは本当に重要。過度に読みやすさを考えて、形式を整えるために多くの時間と労力を割くのは本当に無駄でもったいないことです。

そもそも電子書籍なんて、「とりあえず読めればいい」。そういう性格のものだと筆者は考えています。こういうところで潔癖症のように保存形式を綺麗に統一しなければ気が済まなかったり画質にこだわりがある人は、あまり向いていないかもしれないとも思います。そういう場合は、スクショの撮影はやめてKindleアプリ上でだけ読むのが良いでしょう。

タブレットのストレージがいっぱいになるまでスクショを撮影したら、画像データを一気にまとめてPCに転送して、書籍毎に一つのフォルダを作って、とりあえずそこに当該書籍の画像データを突っこんで、はい終わり。いちいちファイル毎に丁寧に名前を付けたりしない。ページの順さえ合っていればそれでいい。フォルダ名も書籍名が判別さえできればいい。とにかくできるだけ雑に、適当に。そういう、良い意味で「いい加減」なやり方を取っていきましょう。

画像ファイル一枚一枚毎にきれいに名前を付けて整頓して、ファイルサイズが最適になるようにトリミングして、PDFに変換してOCR処理して…そんな完璧主義のようなことをやるのは、実に馬鹿馬鹿しく時間と労力の無駄ですし、後からいくらでも出来ます。そんなことやる時間があれば、一冊でも多くの電子書籍のスクショを撮影する方がよほど生産的ではないかと思います。

繰り返しになりますが、電子書籍なんて所詮「とりあえず読めればいい」。本来そういう性格のモノであるはずだと筆者は考えています。綺麗な形で手元に保管しておくことを目的化するなら、それは電子書籍ではなく紙の本の役割であるはず。過度に読みやすさや扱いの勝手の良さを求めず、とりあえず読めさえすればそれでいい。できるだけ労力をかけない。そんな適当なスタンスでやっていくのがストレスなく上手くKindle Unlimitedを利用するコツです。

プログラムを使ったスクショ撮影の自動化はおすすめできない

プログラムで自動化して大量にスクショを撮るのは時間と労力の無駄

こういった単純作業の繰り返しはコンピューターの得意とするところで、Windows上のKindleアプリでKindle Unlimitedの電子書籍を開き、プログラムを組んでページめくりと指定した範囲の撮影を繰り返すといった要領でスクリーンショット撮影・保存を自動化することもできます。ちょっとググればプログラムの公開している有志の方や、やり方の解説もすぐに見つかるでしょう。

ですが、筆者としては、コンピューターの知識のない人が調べてそこまでするのは正直あまりおすすめしません。スクショの撮影を自動化したいとなると、言い換えれば、「時間と労力をできるだけかけずに大量の電子書籍のスクショを保存したい」ということになると思いますが、そんな大量に保存したところで、当然ですが読み切れるわけもなく、ひたすら”積ん読”のための準備をしているようなものです。

まずやり方を調べるための時間がかかる上に、いくら1ページごとの撮影を自動化したところで、最低限の画像データの管理は手作業でやるしかないわけで、書籍の数が大量になるとその手間暇も馬鹿に出来なくなります。実際のところ、そのうちのほとんどが一生の間で一度も読まれずに終わることでしょう。本来、読書好きがコスパの良さを求めて利用するはずのKindle Unlimitedですが、そんなところに無駄な時間を割いていては本末転倒で、コスパ最悪になります。

ここに労力を使うくらいなら、その分仕事してお金を稼いで、必要なときに必要な本だけを買うのが良いと筆者は考えています。電子書籍のスクショ保存が自己目的化してしまっては意味がありません。そういう意味で、「何でもいいから、とにかくできるだけ多くの電子書籍を集めて取っておきたい!」みたいな、収集癖のある人には向いていないかもしれません。

電子書籍のスクショは本当に後で読む可能性のある必要なものだけ、タブレットの見開き表示で効率よく手作業で撮影していけば、十分に割に合います。本好きなら読みたい本はいくらでも見つかると思いますが、「あれも保存したい、これも保存したい」とあまり欲張らずに、ほどほどに手抜きしてやるのがコストパフォーマンスを最大化するためのコツです。

筆者の個人的なやり方としては、Kindle Unlimitedで「興味なくはないが、読むかもしれないし読まないかもしれない」みたいな微妙な本を見つけたときは、とりあえず無料のサンプルだけダウンロードしておいて、その本の存在をいつでも思い出せる状態にしておき、本当に読みたくなったときに、読み放題対象なら無料ダウンロードして読む、そうでなければ買って読むようにしています。

効率よくスクリーンショットを撮って保存していくためのコツは、とにかく無駄な自己満足やこだわりを捨てることに尽きます。綺麗な形で整理して保管しようとしたり、収集自体を目的にするようなことを一切しない。電子書籍は所詮、必要なときに読めさえすればいい。そういうものと割り切って考えて、上手く付き合っていきたいものですね。

このページの先頭へ