レンタル音楽CDのリッピングやCD-Rへのコピーは合法!違法ではありません!

ウェブサービス 約3分で読めます 投稿 2021/12/12 更新 2021/12/13

レンタル音楽CDのリッピングやCD-Rへのコピーは合法!違法ではありません!

街にあるレンタルCD店についてよくある誤解の1つに「音楽のリッピングやHDDへの取り込みは違法」という認識があります。実はこれ、(一部の例外を除いて)著作権法的には「私的複製」と言ってほとんどの場合で法律上の問題はなく、安心してリッピングしてOKです。

そうは言っても、レンタルしただけで買ってもいないCDの音楽を勝手にコピーすることに疑問や不安を感じている人も少なくないのではないでしょうか。今回はこの問題について、法律家でもある筆者が、著作権上のレンタルCDの扱いに簡単に解説してみたいと思います!

レンタルCDのコピーは「私的複製」に含まれる

レンタル音楽CDのコピーの私的複製は合法

まず、著作権法における原則的なことを言うと、著作物を著作権者の許諾なく複製すると、複製権(著作権法21条)の侵害となります。音楽CDのデータは言うまでもなく著作物なので、そういう意味では勝手にコピーやリッピングを行うと著作権の侵害でアウトということになってしまいます。

ただし、ここで重要なのは「著作権法には著作権を制限する例外規定があり、一定の要件を充たしている場合には、例外的に著作権者の許諾を得ずに著作物を利用してよい」ということ。その例外の一つが「私的複製」というもので、今回のレンタルCDの音楽データのコピーも、この私的複製にあたります。

では「私的複製」とは何かというと、「著作物を個人的な範囲内において使用することを目的とする場合には、著作権者の許諾がなくとも複製が可能」という意味です。レンタルしたCDの音楽をリッピングして自分や家族だけが楽しんでいるような場合、これに当てはまるという訳ですね!

もちろん言うまでもなく、このリッピングしたデータを友人に手渡すようなことをしたら完全アウトです。合法なのは、あくまで自分と家族の範囲内で楽しんでる場合だけで、他人に譲渡してしまうと「私的複製」とは言えず、著作権の侵害で違法になってしまうので注意しましょう!

また、私的使用のための複製と見なされるのは、それを「使う人」自身がコピーする場合に限られます。たとえば「自分がレンタルしたCDのコピーのやり方が分からないから、パソコンに詳しい会社の同僚に頼んでコピーしてもらった」というケースでは違法になってしまうので、これも気をつけましょう。

レンタル料金の中に「著作権利用料金」が含まれている

さて、レンタル音楽CDをパソコンに取り込んだりCD-Rにコピーする行為が、個人的な利用を目的とする場合においては著作権の侵害にならないことは分かりました。リッピングした音楽ファイルを他人に手渡しさえしなければ、スマートフォンやウォークマンに取り込むのも法律的には自由にやってOKです。

実はこれに加えて、レンタルCDというのは通常、あなたが支払ったレンタル料金の中に「著作権利用料金」というものが含まれています。つまり、レンタル店に支払う純粋なレンタル料金だけでなく、著作権者であるレコード会社やアーティストに支払う料金が上乗せされているのです。

いくら法的に私的なリッピングが合法だとは言え、CDを安い料金で借りただけの人が高いお金で買った人と同様にコピーし放題ってなると、アーティストやレコード会社としてはその分CDが売れず損してしまいますよね?「著作権利用料金」とは、それを埋め合わせるための補償料金ってわけです。

言い方を変えると、音楽CDのレンタル料金の中には、それをレンタルした人が単にプレイヤーで再生するだけでなく、パソコンにリッピングして取り込んだりコピーすることを前提とした補償料金が含まれているので、レンタル店と著作権者から二重に料金をとられているということになります。

この仕組みだと、「レンタルCDを借りて返却期限までにプレイヤーで聴いただけで、パソコンやスマホに取り込みはしていない」という人は、著作権利用料を支払った分のパソコン等にコピーする権利を行使していないという意味では、損しているってことになりますね!

というわけで、レンタル音楽CDの私的複製は、著作権の侵害にならないという法律的なことに加えて、レンタルした時点で著作権利用料を支払っているという2つの意味で、違法でも何でもありません。うまくレンタルCDを利用するのはお金を節約しつつ沢山の音楽に触れられる賢い方法ということですね!

コピーコントロールCD(CCCD)のリッピングは違法

2000年代前半に多く出回ったコピーコントロールCD

ところで、この記事の冒頭で「レンタルCDのコピーはほとんどの場合で合法」と、やや含みのある言い方をしました。そう、実は「個人的に使用することを目的としての複製」ならばどんな場合でも私的複製で合法というわけでなく、一部には違法になってしまうこともあるんです。

その例外の1つが、コピー防止・コピー回避機能など技術的に保護されているCDをプロテクト解除して複製する場合です。これは日本の著作権法上では私的複製とは認められないことになっていて、レンタルCDのみならず残念ながら自分で購入したCDであっても違法になってしまいます。

かつて2000年代の前半にコピーコントロールCD(CCCD)といって、パソコンで複製できないようコピー回避技術が搭載されたCDが多く発売された時期がありました。ただし2007年以降にはこのCCCDは完全廃止されたので、近年発売されたCDにおいては全く流通していません。

こういったコピー回避が施されたCDをリッピングしたりCD-Rにコピーすることは、日本国内ではどんな理由があっても著作権の侵害になってしまうので、レンタル店で古いCDを借りるときはコピーコントロールCDでないか気をつけた方が良いかもしれませんね。

ちなみに、Blu-ray DiscやDVDにも全てこういったコピー防止・回避技術によって保護されているので、一般的な音楽CDとは違ってレンタルビデオをパソコンにコピーすることは上述の理由で著作権の侵害になりアウトです!ここは音楽CDと同じように見えて実は著作権法的な扱いに違いがあるところなので注意しましょう。

このページの先頭へ