ヤフオクで売ってるWindowsの激安プロダクトキーはライセンス違反で違法?

自作PC 約6分で読めます 投稿 2019/10/25 更新 2021/12/16

ヤフオクで売ってるWindowsの激安プロダクトキーはライセンス違反で違法?

自作PCにWindowsをインストールしたいときや、MacにBootCampを使ってWindowsをデュアルブートしたいとき、通常はMicrosoft社からWindowsライセンスを正規に購入することが必要です。よく知られているのはMicrosoftからパッケージ販売されている2万~3万くらいのものですね。

ところが、ヤフオクやアマゾンのマーケットプレイスをよく見てみると、一部の業者から1000~2000円程度の激安価格でWindowsのプロダクトキーのシールが販売されていることがあります。たいていはメーカー製の中古PCから剥がし取ったシールを単体で販売しているようですが、ほとんどがライセンス違反です。

Windowsのライセンスにはいくつか種類がある

そもそも、一言でWindowsと言っても、HomeやProといったエディションの違いだけではなく、利用形態によっていろいろな種類のライセンスがあり、たとえばWindows 10ではOEM版・DSP版・リテール版・ボリュームライセンス版といった4種類のライセンス形態があります。

リテール版
最も一般的に販売されているライセンス形態です。家電量販店などでも箱入りパッケージで販売されているので、見たことある人も多いはず。後述する他のライセンス形態と比べて使い回しの制約が最も少なくなっていますが、価格が2万~3万と高価なのがデメリットです。

1つのリテール版のライセンスでWindowsをインストールできるパソコンは一台だけですが、ライセンスの解除を行えば別のパソコンにインストールすることができます。他のライセンス形態のように面倒な制約がないので、自由につかいたい場合はリテール版を選ぶのが無難です。

DSP版
CPUやメモリー、HDDなどのPCのパーツとセットで購入し、必ず同じパソコンに組み込んで使うことが条件の割安ライセンスです。ライセンス上は当該パーツの交換ができないため、セット購入したパーツだけ壊れたら(たとえばHDDの寿命など)、Windowsのライセンスも同時に失効します。

他のパソコンにインストールし直したい場合は、同時購入したパーツと常に一緒に移動させる必要があります。安価なため自作PCユーザーの多くはこのDSP版ライセンスを利用しています。主に自作PCやBTOパソコンを取り扱うショップで販売されているもので、家電量販店などでは普通は扱っていません。

ちなみにWindows 8/8.1ではDSP版のライセンスの条件が一部変更され、パーツと分離してOS単体でWindows 8を販売・使用することができるようになりましたが、Windows 10からはWindows 7以前と同様にパーツとセットでの使用が義務づけられています。

OEM版
家電量販店で売っているメーカー製のパソコンに初めからインストールされているWindowsに与えられるライセンスです。DSP版と同様にパソコン本体のパーツの交換を行うとライセンスが失効します。OEM版Windowsのライセンスの価格はパソコン本体の購入価格に含まれています。

実質的にはパソコンを買えばタダで付いてくるとも言えるので、他のライセンスと比べても特に割安です。OEM版のライセンスはそのパソコン本体に与えられるものなので、他のパソコンにインストールしたWindowsの認証のためにOEM版ライセンスを使い回すことはできません。

VL(ボリュームライセンス)版
企業が一括で大量購入する割安で買えるライセンスです。数十台~数百台のパソコンに一斉にWindowsをインストールしたいときに利用されるもので、通常は個人が購入するものではありません。一つのプロダクトキーで複数のパソコンにWindowsをインストールできます。

VL(ボリュームライセンス)版は企業ユーザー向けのライセンスで、個人が1台~2台のパソコンにインストールするようなものではないのでここでは置いておいて、Windowsのライセンスは大きく分けるとリテール版とその他のライセンス形態(DSP版およびOEM版)に分類できます。

リテール版だけが、一度Windowsをインストールしたパソコンのライセンス認証を解除し、改めて他のパソコンにインストールし直すといったことが可能です。他のライセンス形態(DSP版・OEM版)は一度インストールしたパソコンが壊れたらWindowsのライセンスも同時に失効します。

言い換えれば、DSP版・OEM版は導入するパソコン本体もしくは同時に使用するハードウェアにたいしてWindowsを使用するライセンスが与えられるものですが、リテール版だけが購入者にたいしてWindowsを使用するライセンスが与えられるものという考え方になっています。

ちなみに、リテール版のWindowsを最初にインストールしたパソコンから別のパソコンに乗せ換えたい場合は、元のパソコンからWindowsを削除すればOKです。特別な解除手続きなどしなくても、これだけでライセンス解除されたことになります。

なお、どの形態のライセンスであってもライセンス認証さえしてしまえば、Windowsの使用においては全く違いはありません。ライセンス認証のプロセスが違うだけで、Windows自体は同じものです。インストールするWindowsの中身もライセンスによる違いはありません。

OEM版のWindowsのプロダクトキーだけ販売するのはライセンス違反

さて、本題の激安販売されているWindowsのプロダクトキーのシールに話を戻しましょう。ここまで読んだ方なら既に気付いていると思いますが、メーカー製の中古PCからOEM版ライセンスのプロダクトキーのシールだけ剥がして単体で再利用することはライセンス違反です。

こうした激安プロダクトキーのシールを販売している業者は、ほとんどが廃棄するメーカー製PCからシールだけ剥がして販売しているもので、実際にその旨を明記している業者もいます。言うまでもなく、これを販売することもマイクロソフト社のライセンスに違反することになるでしょう。

Amazonで販売されている廃棄PCから剥がしたプロダクトキーのシールの一例

ですが、プロダクトキーのライセンス自体は偽物というわけではないので、他のパソコンにインストールしたWindowsの認証に使ったとしても、正規品として認識されてライセンス認証が通ってしまいます。海賊版やアクティベーション無効化、改造された違法コピー品のOSとは違うからです。

もちろん、ライセンス違反はいけないことです。そんなことは言うまでもありません。しかしながら、盲点になりがちなことですが「あくまでマイクロソフト社のライセンスに違反するだけで、ライセンス違反 = 法律違反ではない」というのも、一方ではまた事実です。

たとえば、自分の持っている使わなくなったノートパソコンについていたOEM版のプロダクトキーシールだけ剥がして、別の自作PCにWindowsをインストールするために使い回したとしても、ライセンス的な問題はありますが、即座に法的な問題にはならないということです。

この辺りの事情を考えると、ライセンス違反にあたるプロダクトキーを販売する業者が野放しにされている理由が見えてきます。すなわち、あくまで「マイクロソフト社が勝手に決めたルール」に従わないだけのことで、法律に違反しているわけではない…ということですね。

とは言っても、こんなものを販売することにはやはり問題がありますし、全てのライセンス違反が法律違反にならないわけではありません。やり方によっては、海賊版や違法コピーと同じものと見なされて法律に抵触するケースも出てくることでしょう。

そもそも、こうしたライセンス違反の疑いが強いプロダクトキーの出品を野放しにしているヤフオクやAmazonといったプラットフォーム運営側にもかなり問題があるのではないかと筆者は考えています。手数料を取って出品させている以上、見方によっては共犯になるからです。

怪しい業者から激安プロダクトキーを買うのは避けるべき

というわけで、得体の知れない業者からヤフオクやAmazonマーケットプレイスで販売されている激安のWindowsのプロダクトキーは、ほとんど全てライセンス違反と言っても言い過ぎではありません。ライセンス違反とわかっていれば、やはり購入は避けるべきでしょう。

たとえライセンスに違反したOEM版のWindowsでいったん認証が通っても、マイクロソフトの認証システムが変わって、昨日まで普通に動いていたWindowsがある日突然使えなくなったとしても文句は言えません。リスクの面から考えても安いからといって勧められるものではありません。

また「ライセンス違反 = 法律違反ではない」と言っても、それはプロダクトキーを個人で不正に「使用する」ことに限った上での話で、これを販売するとなると、全く話は別です。単に個人で使用するだけとは違い、商行為になりますから、それに伴う責任や法的な問題というのが出てきます。

今のところプロダクトキー単体で販売している業者が逮捕されたり刑事罰を受けたという事案は聞いたことがありませんが、商標権の観点から法律に抵触する可能性があり、実際に悪質な不正プロダクトキー販売業者がマイクロソフトから商標権侵害で損害賠償を求められ、民事裁判で敗訴したケースが過去にあります。

正規のライセンスが与えられたWindowsを合法的に安く手に入れたければ、中古のパソコンを購入するなど方法は他にもあります。ハードオフなどのジャンク品取扱店で買ったパソコンを修理するのも良いですし、アマゾンや楽天でも5000円程度の予算から購入できる中古品が売っています。

Windows 10搭載PCが5000円で買える!?楽天やAmazonの激安中古パソコンはどんな人におすすめ?

5000円~10000円くらいの低価格でパソコン本体ごと購入できれば、下手に怪しい業者からWindowsプロダクトキー単体で購入するよりもずっとコストパフォーマンスが高いですし、マイクロソフト社から正規にライセンス付与されたものなので何の後ろめたさもなく堂々と使うことが出来ます。

Windowsが使えるライセンスが欲しいけれど正規のパッケージ版は高すぎてなかなか手が出せない…そう考えるのが普通の金銭感覚ですが、そんなときは安易にライセンス違反の激安プロダクトキーシールを購入するよりも、こういった中古パソコンを購入する選択肢を知っておいて欲しいと思います。

それでも、どうしても正規品を購入できるお小遣いがないので、ライセンス違反だろうが何だろうが法律に違反しなければ別にいい…と考える場合は、いつそのWindowsが使えなくなるか分からないというリスクを十分に認識した上で、何があっても自己責任でやるしかないのです。

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