HDD・SSDの厳密なデータ完全消去は物理破壊しか方法はない。ソフトを使った上書きだけでは不十分!
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投稿 2019/12/09
更新 2021/12/15
WindowsではHDD・SSD、USBメモリ、SDカードなどの記録メディアに一度書き込んだファイルは、ディスクをフォーマット(初期化)したり、ファイルをゴミ箱に入れて削除しても、データを完全には削除しきれないことは広く知られています。
普通にデータを消去しただけでは、Windowsの管理領域からファイルが除外されて表面上は見えなくなっただけで、実際にはディスクに書き込まれた磁気データは残ったままになるため、専用のファイル復元ソフトを使えば、誰でも簡単にデータが復元できてしまいます。
- この記事の目次(もくじ) -
ランダムなデータの上書きだけでは不十分
データ復元を防ぐため、一般的にはデータを完全消去するためのソフトウェアを用いて、HDD・SSDのデータが書き込まれていた領域に無意味なランダムデータを何度も上書きするという対策方法が取られますが、厳密に言えば、それでも消しきれない領域というのは残ります。
つまり、無意味なデータできちんと上書きできた領域については、それで完全に消しきることができるので、他人にデータを復旧されて情報が漏洩する心配はありませんが、厳密な意味でハードディスクのデータをビット単位で全ての領域を完全に上書きすることは不可能なのです。
ハードディスクを壊さずに引き続き使える状態でデータを完全消去できるので、パソコンを中古で売りに出す場合や他人に譲渡したい場合は簡単で都合のよい方法ですが、個々のソフトによって消去の精度が異なることも加わって、対策として十分とは言えないのです。
なので、フリーソフトや市販のデータ完全消去ツールを使って、ディスクの中身を完全に抹消したつもりでも、どうしても上書き不十分な箇所ができてしまいます。中古で買った「データ消去済み」のHDDから前の持ち主のデータが出てきたという話も、それほど珍しくありません。
これは専門業者にデータ消去を依頼した場合も同じです。ソフトウェアを使ったデータの上書きのみでは、HDD・SSD・USBメモリ・SDカードといった記録メディアから一度書き込まれたデータを完全に消し去るというのは、現状では不可能なのです。
言い換えれば、ハードディスクやフラッシュメモリから厳密な意味で全てのデータを完全に消去して、情報漏洩の心配が一切ないような状態を作り出すには、ドリルで円盤に何カ所も穴を空けたりプレス機にかけて粉砕するなど、物理的に破壊してしまうしか方法はありません。
データを完全に消去する3つの方法
以下に、ハードディスクやSSDに書き込まれたデータを完全に消去するための方法を3つ紹介します。
ソフトを使ってデータを上書きする |
記録メディアを壊さずに引き続き使える状態でデータを消去できるので、使わなくなったハードディスクやメモリーカードを中古で売りたい場合などには都合の良い方法ですが、上に述べたように、データの上書き処理だけでは100%安心とは言えません。
家庭でインターネットを見る程度に使っていたパソコンならこれでも十分な場合もありますが、個人情報や企業秘密など、絶対に漏洩してはいけないデータを多く含むディスクを処分したいときは、この方法はお勧めではありません。 |
強磁気を当ててハードディスクの磁気を破壊する |
この方法は個人で実行できるものではないので、強磁気を当てる機器を持っているデータ消去専門業者に依頼して行うことになります。ハードディスクのプラッターと呼ばれる円盤に非常に強い磁気を当てることで、データが書き込まれている記録演算子そのものを破壊します。
ほぼ確実にデータを完全消去できるので、ソフトを使ったデータの上書きより精度が高いという意味では安心できますが、どうしても”専門業者”という他人の手を介することになるので、信頼できない業者だと本当にきちんとデータ消去してくれるか分からないのが欠点です。 |
物理的に破壊する |
原始的なやり方ですが、個人でも行えて最も安心できるデータ消去の方法です。ハードディスクをドライバーでネジを外して分解して、中に入っている円盤状のプラッターを取り出し、電動ドリルで複数箇所の穴を空けたりハンマーでたたき割ってしまうというものです。
こうすればディスクが読み込めなくなるため確実なデータ消去が可能です。ただしデータが記録されているプラッターを完全に破壊しないと、中途半端な破壊では専門業者の手にかかれば繋ぎ合わせてデータ復元されてしまう可能性もあります。やるならケガに気をつけて徹底的にやりましょう。 SSDやUSBメモリー、SDカード等のフラッシュメモリー媒体の場合は、ハードディスクほど面倒ではありません。ハードディスクほど頑丈に作られていないので、わざわざ分解しなくてもそのままハンマーで強くたたいてしまえば、たいていの製品は簡単に粉砕できます。 |
ハードディスクやフラッシュメモリーなどの記録メディアからデータを完全消去するには、上のように主に3つのやり方があります。このうち個人で簡単に行えるのはソフトを使ったデータ上書きと物理破壊ですが、データを上書きした上で物理破壊すればより安心と言えますね。
きちんとデータを完全消去して個人情報を守ろう
というわけで、ディスクをフォーマットしたりゴミ箱からファイルを削除しただけでは、ファイル復元ソフトを使って容易に復元されてしまうので、記録メディアを廃棄処分する場合は、上にあげたような方法できちんとデータを完全消去してやりましょう。
ソフトウェアを使ったデータの上書きだけでは厳密な完全消去はできないと聞くと、100%の完全なデータ消去は大変なことに思われるかもしれませんが、ハンマーでたたき割るなどの物理的な破壊なら個人でも簡単に行えますし、費用もかかりません。
また、企業や官公庁などでデータ消去の専門業者と契約している場合でも、その業者の中の人が全て信頼できる人間とは限らないので、できればソフトを使った上書きなど簡易的なデータ抹消を行ってから、廃棄するハードディスクを引き渡すのが望ましいと言えます。
最近では、2019年の12月に起きた神奈川県の行政データ流出事件がありますが、ハードディスクの廃棄処分を依頼した業者がいい加減で、廃棄用に一時保管していたハードディスクを社員が横領してヤフオクで転売し大量の個人情報が漏洩するという、専門業者の背任によるデータ流出事件も実際にあります。
ハードディスクの中身は大切な個人情報のかたまりです。しかし、たとえ相手が専門業者でも安易に他人を信頼しないようにして二重三重に対策していれば、データが復元されて漏れてしまうことは、そうそうないはずです。きちんと危機意識を持って、大切な情報が外部に漏れることのないように心がけましょう。