SONYの電子書籍リーダー「Reader Pocket Edition PRS-350」レビュー!
買ったものレビュー (ガジェット)
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投稿 2012/03/26
更新 2019/12/26
今回購入したのは、SONYの電子書籍リーダー「Reader Pocket Edition PRS-350」です。SONYのReaderにはいくつかラインナップがあって、今回のPocket Editionは最新機種よりも1世代前のモデルにあたり、全ラインナップの中でも最も価格が安く画面サイズも小さいモデルとなります。
とは言っても発売当初(2010年12月)は1万8千円程と、なかなかいい値段がついていましたが、昨年末(2011年10月)に発売されたWi-Fi内蔵モデルの発売に伴い、現在は大幅に値下がりしており、およそ半額の1万円以下での購入が可能となっていて、今が買い時と言えるのではないかと思います。
ちなみに筆者はかなり多く本を読む方で、今まで外出先などでもiPhoneやiPadを中心に自炊したPDF・EPUBを読んでいましたが、最近バックライトLEDから発せられるブルーライトが目に良くないと小耳に挟んだりとか、やはり長時間の読書には眼に負担がかかることをひしひしと実感しているというのが電子ペーパー採用のReaderを購入した動機です。
廉価版のPocket Editionを選んだ理由は、外出時の持ち運びを前提に考えていることもありますが、何と言っても価格が安いので、実際にしばらく使ってみて画面が大きい方がいいと思ったらまた買い換えればいいだろう、万が一気に入らなかったときのショックも小さいだろう、という安直な考えもあってのことです。
化粧箱はこんな感じ。ウォークマンなど他のソニー製品にもよくみられる、薄い段ボール製の簡素なものです。このあたりはユーザー体験よりもエコやコスト削減を優先しているようで、同じガジェットメーカーでもアップル社などは姿勢の違いが見て取れますね。
箱から取り出してみたところ。付属品はSONY Reader本体とMicro USBケーブルのほか、保証書・取扱説明書類のみというシンプルな内容です。
筐体はアルミ製で部分的にヘアライン加工されている点など高級感を感じさせる部分もあり、一方で電源スイッチなど樹脂部分は工業製品的な印象を完全に拭い去れないところもありますが、1万円弱という価格を考えれば十分満足できる質感を達成していて、個人的には好感触です。
背面には片手で持ったときに滑らないようラバー風のコーティングが施されていて、かなり持ちやすく感じました。本体の大きさは文庫本とほぼ同じ〜わずかに小さいくらいのサイズで、厚さ1cm弱、重さ155gとなっており、「Pocket Edition」と名前がついているとおり、本当にスーツやジーンズのポケットに入ります。
電子書籍の転送については専用ソフトを使用せずとも自炊したPDF等を本機にドラッグ&ドロップするだけでOK。内蔵ストレージの容量は2GBと表記されていますが実質1.5GBで、上位モデルと違い本機(Pocket Edition)はSDカード等の外部メモリも使用不可なので注意が必要です。
早速電源を入れてメニューを開いてみると、まず電子ペーパーの鮮明さに感心にも似た驚きを感じました。同じモノクロでも液晶などとは明らかに違い、まるで本物の印刷物が画面にはめ込まれているかのような錯覚を起こした、と言ってもいいくらいです。
自炊してPDF化した新書やハードカバーを開いてみると、文字は確かに小さいものの映りが非常に鮮明で、画数の多い漢字やルビまでしっかりと視認できる点は、5インチという画面の小ささ(文庫本よりさらに一回り小さい)に対する不安を完全に払拭してくれました。
ちなみに本機と文庫本を並べてみると、大きさがどれほどのものかよく判ります。上位の6インチモデルは画面サイズが一回り大きく、画面だけで文庫本とほぼ同じ大きさとなっていますが、画素数(解像度)は本機も上位の6インチモデルも同じなので、文字の視認性にはサイズから想像するほど大きな差異はありません。
一方で、タッチパネルの操作性は決して優れているとは言えず(はっきり言って「悪い」の一言に尽きます)、本モデル(Pocket Edition)においては文字の拡大や縮小は、上の写真のように操作メニューにはありますが非常に使いづらく、実質「できない」と考えておいた方がいいようです。
おまけ機能としてですが、写真の閲覧や手書きメモを取ることも可能で、さらにはジーニアス英和辞典まで内蔵されているので読書中に意味のわからない単語を調べるにも便利です。まあ、さすがに今どき本機のようなモノクロ画面で写真を閲覧しようという人はほとんどいないと思いますが…。
注意点として、Micro USBはデータ通信用と充電用では配線が異なっており、本機に付属しているケーブルはPCからデータを移す際に使用するための通信用のもので、スマートフォンなどを充電する際に使用するUSB充電器(コンセントから給電するやつ)で、本機を付属のMicro USBケーブルと接続しても充電することができません。
ちなみに付属のUSBケーブルでPCから充電することは可能ですが、もしUSB充電器から本機を充電したい場合は、充電用の配線のMicro USBケーブルを別途用意する必要があり、そのために同社からオプション品としてSONY Reader専用充電器の「PRSA-AC10」という商品が販売されていたりもします。
つまり何が言いたいのかと言うと、「実際のところ、SONY Reader本体の大きさにはミニB型USB端子を備えるだけの十分な余裕があるのに、あえて通信用と充電用で配線の異なるMicro USB端子を採用し、なおかつ充電用配線のMicro USB端子を同梱していない」というわけです。
このあたり、USB充電器を使っての充電の仕方がわからない情報弱者に高価なオプション品の専用充電器を買わせようというメーカーの意図が垣間見えるようで、個人的には商売のやり方として少しばかり嫌らしい印象を受けました。
ついでに言及しておくと、当たり前かもしれませんが同梱のユーザーズマニュアル等には、USB充電器で充電したければ専用充電器を購入するように書いてあるだけで、上に説明したようなMicro USBケーブルは通信用と充電用で配線が異なるという事実は何処にも記載されていません。
筆者の場合、以前にeneloop mobile boosterを買ったときに付いていた、充電用配線のMicro USB端子変換アダプターをたまたま持っていたので特に問題はなかったのですが、何だかソニーらしくないと言うか、このようなPCに疎いユーザーを混乱させたり搾取するような仕様はやめて欲しいですね…。
それはさておき、1万円以内で購入できるガジェットとしては、久しぶりに買って大正解と思えた製品でした。筆者は暇さえあればいつも本を読んでいる人間なので、この「SONY Reader Pocket Edition」を買ってからは、どこに行く時も四六時中肌身離さず持ち歩いている状態です。
今までiPhoneやiPadなどの液晶画面端末で電子書籍を閲覧していた身として、電子ペーパーの画面の見やすさや電池持ちの良さはもちろんですが、何といっても、実際に「本を読んでいる」という感覚が液晶画面のそれよりも、かなり実物の紙の書籍に近いような気がしています。
電子書籍のメリットについては、すでに多くの場であげつらわれているので利便性について十分に周知されていることと思いますが、そうかと言って所持している紙の本を裁断してしまうのは、なかなか踏ん切りが付かない人も多いと思います。
もしiPadなど液晶画面の電子書籍リーダーを今持っていて、手持ちの書籍の自炊を考えている人がいれば、試しに本機のような電子ペーパーの端末に一度触れてみてはいかがでしょうか。「読書はあくまで紙の本で」というあまり意味のないこだわりがなくなり、電子書籍を積極的に利用したり蔵書の自炊に踏み切る良いきっかけになるかもしれません。