SONYの高音質Bluetoothヘッドホン「MDR-1ABT」レビュー!

買ったものレビュー (イヤホン・ヘッドホン・オーディオ) 約4分で読めます 投稿 2015/04/30 更新 2019/12/31

SONYの高音質Bluetoothヘッドホン「MDR-1ABT」レビュー!

今回購入したのは、ソニーの高音質Bluetoothヘッドホン「MDR-1ABT」です。名前からすると、有線のハイレゾ対応ヘッドホン「MDR-1A」のBluetooth版のような位置づけですが、ワイヤレスで高音質なヘッドホンが以前から欲しいと思っていたので、ちょうど良さそうなので買ってみました。

個人的に気になっているポイントとしては、振動板にアルミニウムコート液晶ポリマーという素材を採用しているところや、高音質のBluetoothコーデックであるLDACに対応しているところです。ちょどLDAC対応ウォークマンも持っていたので、それが購入の決め手になりました。

筆者は、普段は有線の数万円以上クラスのヘッドホンを据え置きアンプにつないで音楽を聴いているのですが、コードが邪魔でもっとカジュアルにヘッドホンを使いたいと思うこともたびたびあって、そこそこ良い音質のBluetoothヘッドホンがあれば良いなと思っていました。

ワイヤレスのヘッドホンを有線ヘッドホンと比較するのはナンセンスという意見もあると思いますが、この「MDR-1ABT」はソニーとしても今までとは違う高音質を売りにしているBluetoothヘッドホンなので、今回はあえて有線の同価格帯ヘッドホンとの比較したレビューを書いてみたいと思います。

箱はこんな感じ。写真では伝わりませんが、それなりの大きさと重さもあって高級機らしさを感じさせます。個人的にもソニーのヘッドホンを買うのは久しぶりなので、ちょっとワクワクしました。

箱の裏はこんな感じ。本機の特長や対応規格についていろいろと書いてあります。ちなみに保証書はこの箱の内側に貼り付けてありました。

箱を開けてみたところ。高級機らしさがありますね。今回はカラーはシルバーを選んでみました。ヘッドバンドやイヤーパッドのブラウンとシルバーの組み合わせが気に入りました。

付属品は取扱説明書以外にも、わりとしっかりした作りのキャリングポーチと有線接続用のオーディオケーブル、それから充電用のMicro USBケーブルが入っていました。

デザインは個人的にはとても好みです。ブラックのモデルも赤との組み合わせが良い感じのデザインだと思いますが、ちょっと普通すぎる感じもしたのでシルバーを選んでみて、結果的には大正解でした。

ハウジング部分の内側は薄くて目の粗いメッシュで覆われているだけで、アルミニウムコート液晶ポリマー製の振動板がほぼむき出し状態です。油断すると内側に埃が入り込みそうですが、イヤーパッドごと外して掃除できるようです。

電源を入れてBluetoothをオンにすると、電源ボタンの横の青色LEDが点滅します。シルバーの本体に青色の発色はなかなか合っていて気に入っています。

右側のハウジングにタッチセンサーが内蔵されていて、指で触れたりスライドすることで再生・一時停止や音量の上げ下げができます。デザインを優先して出来るだけ物理ボタンを減らしたかったのだと思いますが、使い勝手は悪くありません。たまに上手く反応してくれないので、意図しない操作をしてしまうことはありますが…。

で、肝心の音質についてですが、自分が普段使っている同価格帯の密閉型有線ヘッドホンの代替品としてある程度使えることを期待していたのですが、正直に言って、さすがに期待しすぎた感はありました。所詮はBluetoothヘッドホンで、やはり有線の数万円クラスのヘッドホンと比べると一聴してレベル低いのがすぐにわかるほど微妙な音質です。

率直に言えば、同価格帯の有線と比べると音の解像度からしてワンランクもツーランクも落ちます。一応メーカーのソニー的には、このヘッドホンは有線ヘッドホンのハイエンド機種「MDR-1A」のBluetooth版のような位置づけという販売戦略をとっているように思いますが、おそらく「MDR-1A」とは似て非なる音質なんだろうという予想は容易につきます。

さすがに有線ヘッドホンの完全な代替品としては、個人的には全然使えそうにないわけですが、これは自分にも落ち度があって、所詮はBluetoothヘッドホンなのに期待しすぎたからです。あくまでBluetoothヘッドホンとしてみれば、現状これ以上の高音質の機種は存在しないのではないかと思える程度には、それなりに高音質なヘッドホンです。

また今回自分が期待していたポイントとして、このヘッドホンが高音質のBluetoothコーデックであるLDACに対応している点もあったのですが、これはちょっと残念なところで、AACやapt-xなど他のコーデックと比べて情報量の違いが分かるほどのハードウェア性能ではありません。耳の良い人なら分かるかもしれませんが、少なくとも筆者には全然分かりません。

というのも、そもそもこのヘッドホンの構造的に鳴らせる音質の限界レベルがあまり高くはないと言うか、Bluetoothではなく有線ケーブルでつないで使ったとしても解像度がそれほど高いわけではないので、LDACコーデックの採用によって受信できる音の情報量が増えたところで、その情報量を全く活かせていないような気がします。

というわけなので、音質については、音場感がどうだとか高域~低域のバランスがどうだとか、そんなことは自分の中では論じるに値しません。高音質とは言っても、やはり有線の同価格帯ヘッドホンと比べてしまうと、所詮はBluetoothヘッドホンだと強く認識してしまうレベルです。ワイヤレスの限界を感じました。

ずいぶん辛口なレビューになってしまいましたが、これは自分が期待しすぎたことにも原因がありますが、そもそもソニーの販売戦略としてハイエンドの密閉型有線ヘッドホンである「MDR-1A」のBluetooth版のような位置づけで高音質を売りにしていることにも起因しています。「MDR-1A」を聴いたことはありませんが、おそらく次元の違う音質なので、単なるワイヤレス版と考えて購入すると後悔することになるでしょう。

逆に良いところとしては、デザインがとても気に入っていることや、装着感の良さです。イヤーパッドの大きさや硬さや側圧もちょうどよく、長時間付けていても気になりません。なので、ワイヤレスでカジュアルに音楽を聴きたいときには非常に使い心地がよく、音質もさすがに1万円以下のヘッドホンと比べると十分に高音質と言えるので、とても便利だと思います。

実際のところ、筆者がこのヘッドホンを購入してから全然使っていないのかというと全くそういうわけではなく、むしろ毎日と言って良いくらい使い倒しています。音質に強いこだわりがなければワイヤレスはやっぱり便利ですし、ながら勉強・ながら仕事にも使いやすい。満足行く音質でじっくり音楽鑑賞したいときは今まで通り有線ヘッドホンをつかって、そうでないときはこちらを使っています。

要はワイヤレスの本機と有線のハイエンド機を目的によって使い分けているのですが、ちょっとくらい音質を犠牲にしてでもこのヘッドホンを使いたいと思わせるくらいの利便性がワイヤレスにはありますし、装着感の良さやデザインが好みなのもあって、Bluetoothヘッドホンとしてはなかなか気に入っています。

おそらく、Bluetoothヘッドホンとしては今後もこれ以上の音質の製品はなかなか出てこないと思うので、もう高音質を目的にBluetoothヘッドホンを購入することは個人的にはないかもしれません。本機で良くも悪くもBluetoothヘッドホンの音質の限界を感じました。高音質を売りにしているソニー製ヘッドホンがこの程度となると、世の中にこれ以上のBluetoothヘッドホンは存在しないのでしょう。

というわけで、数万円クラスの有線ヘッドホンの代替品としては全然ダメでしたが、それなりに音楽鑑賞に使えるBluetoothヘッドホンが欲しいと思っていたのは事実なので、買って後悔しているわけではありません。カジュアルに使うための便利なワイヤレス機としては、当分の間はこの「MDR-1ABT」を愛用していけそうな気がしています。

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